AWS EC2 の料金体系を初心者向けに整理する — 何にいくらかかるのかを理解する

2026年6月7日

はじめに

「AWS の EC2 を試してみたいけれど、結局いくらかかるのか分からなくて不安」——そう感じたことはないでしょうか。EC2 の料金体系は項目が多く、最初は何にお金がかかるのか把握しづらいものです。本記事では、東京リージョンの EC2 を例に、何をすると料金が発生するのか・どのくらいの金額になるのかを初心者向けに整理します。

これから AWS を始める方や、料金に対する漠然とした不安を解消したい方の参考になる内容です。

注意事項

記載している内容は2021年4月時点のものです。正確な料金を確認したい場合は、必ず AWS の公式料金ページを確認してください。また、AWS の料金体系は複雑で、利用方法によっては本記事に記載した内容以外の料金が発生する可能性があります。(本記事の円換算は執筆時点のレート 1USD=110円で計算した目安です)

EC2 の料金体系の全体像

EC2 を利用すると、主に以下の費用が発生します。

  • 必ず発生する料金:インスタンスの利用料金/EBS の利用料金/通信料金
  • 利用方法によって発生する料金:Elastic IP(固定 IP アドレス)の利用料金/スナップショットの保存料金

料金の目安をまとめると以下のようになります。

項目発生条件料金の目安
インスタンス利用料金必須t2.nano: 0.0076USD/時間(月額約602円)
m5.xlarge: 0.248USD/時間(月額約19,641円)
EBS 利用料金必須gp2: 0.12USD/GB/月(100GB利用で月額約1,320円)
通信料金必須1GB/月まで無料、以降は段階的に0.114〜0.084USD/GB
Elastic IP 料金利用方法による1インスタンスにつき1つは無料/未使用時は0.005USD/時間
スナップショット料金利用方法による0.05USD/GB/月(100GBで月額約550円)

ここから、それぞれの料金について詳しく見ていきます。

1. インスタンスの利用料金

課題:インスタンスのスペックによって料金がどう変わるのか分かりにくい。
解決策:vCPU・メモリなどのスペックと時間単価をセットで把握しておく。

対象のインスタンスを起動している間、時間単位で課金される料金です。EC2 を利用するうえで必ず発生する料金と考えてください。料金はインスタンスの性能(vCPU・ECU・メモリ・インスタンスストレージ)によって異なります。

例えば、検証環境としてよく使われる t2.nano(vCPU: 1 / ECU: 該当なし / メモリ: 0.5GB / ストレージ: EBS のみ)であれば、0.0076USD/時間です。1か月使い続けても約602円という、非常に手頃な価格設定です。

一方、m5.xlarge(vCPU: 4 / ECU: 16 / メモリ: 16GB / ストレージ: EBS のみ)になると 0.248USD/時間となり、1か月では約19,641円です。スペックによって料金が大きく変わることが分かります。

2. EBS の利用料金

課題:インスタンスを再起動してもデータを残しておきたいが、その仕組みにも料金がかかるのか気になる。
解決策:EBS は EC2 の「ハードディスク」にあたるサービスで、サイズに応じた月額料金がかかると理解しておく。

EBS は、いわば EC2 インスタンスの記憶装置(HDD)にあたる料金です。一般的なパソコンと同様に、過去に作成したデータをインスタンスの再起動後も使い続けたい場合には必ず必要になるサービス・料金と考えられます。

料金はボリュームのサイズとアクセス速度によって異なるボリュームタイプが用意されています。標準的な gp2 というタイプであれば 0.12USD/GB/月です。100GB を1か月利用した場合、約1,320円とシンプルで分かりやすい料金設定になっています。

3. 通信料金

課題:「通信に料金がかかる」と聞くと身構えてしまうが、実際にどんな通信に課金されるのか分かりにくい。
解決策:課金されるのは「EC2 → インターネット方向」の通信だけだと理解しておけば、過度に心配する必要はない。

EC2 を利用する以上、通信料金も必ず発生するものと考えてください。ただし料金体系はやや特殊で、お使いのパソコンから EC2 への通信には一切料金がかかりません。一方で、EC2 からお使いのパソコン(インターネット)への通信には費用が発生します。

EC2 からインターネットへの通信は、1か月あたり以下のような段階制料金になっています。

  • 1GB まで:無料
  • 1GB を超えた後の 9.999TB まで:0.114USD/GB
  • 10TB を超えた後の 40TB まで:0.089USD/GB
  • 50TB を超えた後の 100TB まで:0.086USD/GB
  • 150TB を超えた後:0.084USD/GB

仮に月の通信量が 30TB だった場合、9.999TB までで約1,140USD、残り約20TB で約1,780USD、合計で約2,920USD(約32万円)/月という計算になります。とはいえ、これはかなり極端な例です。一般的な利用でここまでのデータ量に達することはまずないため、過度に心配する必要はありません。

このほか、東京リージョン内でのデータ転送やリージョンを跨ぐ通信にも料金が発生します。なお、同一アベイラビリティーゾーン(AZ)内のデータ通信には料金がかかりません。

4. 利用方法によって発生する料金(Elastic IP・スナップショット)

課題:固定 IP やバックアップは便利そうだが、使うと必ず料金がかかるのか不安。
解決策:どちらも「使わなければ料金は発生しない」サービスであり、使う場合の条件と単価を押さえておけば想定外の出費を防げる。

Elastic IP は EC2 インスタンスに固定 IP アドレスを付与するサービスで、利用しなければ料金は発生しません。1つのインスタンスに対して1つだけ紐付ける場合は無料で利用できます。ただし、紐付け先のインスタンスが停止している場合や、どのインスタンスにも紐付けられていない Elastic IP には 0.005USD/時間の料金がかかります。1か月放置しても約396円程度です。

スナップショットは EBS のバックアップだと考えてください。定期的に取得しておけば、特定の日付の状態に戻すことができます。こちらも一切バックアップを取得しないのであれば料金は発生しません。利用する場合は 0.05USD/GB/月で、100GB のスナップショットなら1か月あたり約550円です。決して高い設定ではありませんが、複数世代を保存し続けると想定以上の料金になることがあるため注意しましょう。

まとめ:EC2 の料金を理解するためのポイント

本記事で解説した内容をまとめます。

  • EC2 では「インスタンス利用料金」「EBS 利用料金」「通信料金」の3つが必ず発生する
  • インスタンス料金はスペックによって数百円〜数万円/月まで大きく変動する
  • 通信料金が発生するのは「EC2 → インターネット」方向のみで、一般的な利用では極端に高額になることはない
  • Elastic IP・スナップショットは利用方法によって発生する料金で、使わなければ費用はかからない
  • トータルの料金は、これらの項目の積み上げで決まるため、個々の単価を押さえておくと見積もりがしやすくなる