Windows 10 Home の Docker で gcloud SDK 環境を構築して PC 起動後すぐに使える設定にする

2026年6月6日

はじめに

「Windows マシンで gcloud CLI を使いたいが、毎回 PowerShell を開くのは面倒で、Linux シェルに慣れた操作感で使いたい」——そう感じているエンジニアは多いのではないでしょうか。本記事では、Windows 10 Home 上の Docker Desktop を使って gcloud SDK コンテナ環境を構築し、PC 起動から 10 秒で gcloud コマンドが打てる状態を作る手順を解説します。

コンテナをカスタマイズしてイメージとして保存することで、環境が再現可能になる点も大きなメリットです。gcloud 環境を Docker で管理したいエンジニアの方の参考になれば幸いです。

前提:Docker Desktop for Windows のインストールは完了していることを前提とします。未インストールの場合は、前回の記事「Windows 10 Home で Docker Desktop + WSL2 を使って Ubuntu 20.04 LTS を起動するまでの手順」をご参照ください。

使用ツール・環境

カテゴリツール・技術役割・選んだ理由
OSWindows 10 HomeWSL2 + Docker Desktop で Linux 環境を実現
コンテナランタイムDocker Desktop for WindowsGUI 管理とコマンドラインの両方で操作可能
ベースイメージgcr.io/google.com/cloudsdktool/cloud-sdk:latestgcloud CLI が最初からインストール済みの公式イメージ
SSH クライアントTeraTermコンテナに素早く SSH 接続するためのターミナルツール

gcloud SDK コンテナ環境の構築手順

1. gcloud SDK イメージを取得する

課題:gcloud CLI が入ったベースイメージが必要。
解決策:Google 公式の Cloud SDK イメージを Docker Hub から pull する。

PowerShell を起動し、以下のコマンドを実行します。イメージサイズが大きいため、ネットワーク環境によっては数分かかります。

docker pull gcr.io/google.com/cloudsdktool/cloud-sdk:latest
docker pull で gcloud SDK イメージを取得している様子

2. コンテナを起動する

以下のコマンドでコンテナを起動します。-it -d でバックグラウンド起動、--name でコンテナ名を指定します。

docker run -it -d --name gcloud-config gcr.io/google.com/cloudsdktool/cloud-sdk:latest
docker run でコンテナを起動した結果

3. コンテナのシェルにログインする

Docker Desktop の「Containers」タブから作成したコンテナを選択し、「CLI」ボタンをクリックしてシェルに接続します。

Docker Desktop の Containers タブから CLI を開く

4. SSH サーバ・エディタをインストールする

課題:コンテナに外部から SSH 接続するためのサーバが必要。
解決策:openssh-server と vim をインストールする。

apt install ssh
apt install ssh の実行結果
apt install vim
apt install vim の実行結果

5. SSH ログイン用ユーザを作成する

任意のユーザ名でユーザを作成し、sudo 権限を付与します。

adduser YOUR_USERNAME
gpasswd -a YOUR_USERNAME sudo
adduser コマンドでユーザを作成している様子
gpasswd で sudo グループに追加した結果

6. コンテナ起動時に sshd を自動起動するスクリプトを作成する

課題:WSL2 環境では systemctl で sshd を自動起動できない。
解決策:起動スクリプトを用意して docker run の引数として渡す。

vi init.sh
chmod 777 init.sh
init.sh の作成と実行権限付与

init.sh に以下の内容を記述します。tail -f /dev/null でコンテナが終了しないようにします。

#!/bin/bash
service ssh start
tail -f /dev/null
init.sh の内容(sshd 起動 + tail で常駐)

7. カスタムイメージとして保存する

ここまでの設定を新しいイメージとして保存し、元のコンテナは削除します。

docker stop gcloud-config
docker commit gcloud-config mygcloud
docker rm gcloud-config
docker commit でカスタムイメージ mygcloud を作成する様子

8. 自動起動オプション付きでコンテナを再起動する

--restart=always で PC 再起動後も自動起動します。-p で SSH 接続用のポートをフォワーディングします。

docker run -it -d -p 49153:22 --restart=always --name gcloud-config mygcloud ./init.sh
--restart=always でコンテナを起動したコマンド結果

TeraTerm ショートカットで素早くログインする設定

1. デスクトップにショートカットを作成する

デスクトップを右クリックし、「新規作成」→「ショートカット」を選択します。

Windows デスクトップの右クリックメニューからショートカットを作成

「参照」ボタンから ttermpro.exe を選択します。

ショートカット作成ウィザードで ttermpro.exe を選択

プログラムのパスの後ろに、接続先・ユーザ名・パスワードを追記します。

"C:\Program Files (x86)\teraterm\ttermpro.exe" 127.0.0.1:49153 /user=YOUR_USERNAME /passwd=YOUR_PASSWORD
ショートカットに接続パラメータを追記した状態

2. ショートカットから SSH 接続する

作成したショートカットをダブルクリックすると、SSH のホスト確認ダイアログが表示されます。「続行」をクリックします。

TeraTerm の SSH ホスト確認ダイアログ

ショートカットに設定したユーザ名・パスワードが自動入力された状態でログインダイアログが表示されます。「OK」をクリックするとコンテナのシェルに接続できます。

TeraTerm の SSH ログインダイアログ(ユーザ・パスワード自動入力)
gcloud コンテナのシェルにログイン成功した画面

gcloud 認証と GCP プロジェクトの初期設定

1. Google アカウントで認証する

以下のコマンドを実行すると、ブラウザ認証用の URL が表示されます。ブラウザでアクセスして Google アカウント認証を行い、発行されたコードをターミナルに入力します。

gcloud auth login
gcloud auth login で認証用 URL が表示された画面
ブラウザで Google アカウント認証を行っている画面
Google 認証後にコードが発行された画面
verification code をターミナルに入力して認証完了した画面

2. GCP プロジェクトを設定する

使用する GCP プロジェクト ID を設定します。

gcloud config set project YOUR_PROJECT_ID
gcloud config set project でプロジェクトを設定した結果

ここまで設定が完了すれば、PC を再起動してもコンテナが自動起動します。ショートカットをダブルクリックするだけで gcloud コマンドが打てる状態となり、認証の再設定も不要です。

まとめ:Docker + TeraTerm で実現する gcloud 即時起動環境

本記事で解説した手順をまとめます。

  • Google 公式の Cloud SDK イメージを使うことで、gcloud CLI のインストール作業が不要になる
  • docker commit でカスタムイメージを作成し、SSH・vim・ユーザ設定を永続化できる
  • --restart=always オプションで PC 再起動後もコンテナが自動起動する
  • TeraTerm ショートカットにパラメータを設定することで、ワンクリックで gcloud 環境にアクセスできる
  • gcloud auth logingcloud config set project は初回のみ設定すればよい

次回は、構築した gcloud 環境を使って Cloud Shell から Text-to-Speech API を試す手順を解説します。